全世界50カ国以上で
ノバルティス ファーマ株式会社は、2016年5月27日、心不全疾患領域で過去最大となるグローバル臨床プログラム「FortiHFy」について発表した。
これは世界50カ国以上の医師、患者が5年以上にわたり参加する全世界的臨床プログラムで、新規の新不全治療薬であるLCZ696による症状軽減や有効性、安全性、QOL改善、実臨床に基づいたエビデンスについてデータを創出する。
「FortiHFy」プログラムで実施する試験には、左室駆出率が保持された心不全に対する有効性と安全性の検討(PARAGON-HF)や心筋梗塞後の心不全リスクの高い患者に対する心血管死、心不全による入院、心不全新規発症の減少効果の検討(PARADISE-MI)がある。
他に、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)で急性非代償性心不全の入院患者に対する投与開始時期の比較(TRANSITION)、急性非代償性心不全後のHFrEF患者に対するNT-proBNP変化への影響を検討(PIONEER)など。
新規治療薬LCZ696
LCZ696は、新規化合物のネプリライシン阻害薬サクビトリルとアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)のバルサルタンを含有し、機能不全となった心臓の負荷を軽減する働きをもつ。投与は1日2回行う。
一般的な心不全治療薬は、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制するのみであるが、同剤は、心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(NPシステム、ナトリウム利尿ペプチドシステム)も促進する。
欧州では左室駆出率が低下した症候性慢性心不全を適応症とし、米国では収縮不全を伴う心不全(NYHAクラスII~IV)を適応症とする。日本では現在、慢性心不全を対象に第3相臨床試験を行っている。

ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース
http://www.novartis.co.jp/news/2016/pr20160527.html