投与の再開を忘れないよう呼びかけ
公益財団法人日本医療機能評価機構は、5月16日付けで発表した「医療安全情報No.114」で、手術などの観血的医療行為のため、抗凝固剤・抗血小板薬の投与を一時中断した場合、術後の再開を忘れないよう医療従事者に対して注意喚起を行った。
4件の事例報告 脳梗塞発症例も
日本医療機能評価機構によると、2012年1月1日から2016年3月31日までの集計期間の中で、抗凝固剤・抗血小板薬の投与再開を忘れたために、患者に影響があった事例が4件報告されたという。そのうち患者に脳梗塞が認められた2例を紹介。
術後に投与再開を忘れた事例
事例では、手術に備えて抗凝固剤『ワーファリン錠』を中止していた患者に対し、術後出血のリスクを考慮して再開を遅らせる予定にしていたが、そのまま再開しなかった。術後17日目、声かけに反応がなかったため検査をしたところ、脳梗塞の発症を認めたもの。また別の事例では、抗血小板剤『バイアスピリン錠』を中止していた患者に対し、看護師が医師からの「手術翌日よりバイアスピリン錠再開」という指示を見落とし、再開をしていなかった。患者が傾眠傾向にあり、頭部MRI検査を行ったところ、多発性の脳梗塞を確認した。
事例発生の医療機関では改善措置
報告のあった医療機関では、術後指示の欄に抗凝固剤や抗血小板剤についての再開日記入欄を設けたほか、病棟薬剤師から医師に対して、術後の内服状況についての情報提供を行うこととした。

公益財団法人日本医療機能評価機構(医療安全情報)
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_114.pdf