非小細胞肺がんにおける臨床試験結果
中外製薬株式会社は、6月3日から7日に米国シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会年次総会で、抗悪性腫瘍剤『アレセンサ』の国内第III相臨床試験「J-ALEX試験」の結果を発表することを公表した。
クリゾチニブとの比較試験で無増悪生存期間を延長
「J-ALEX試験」は、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者を対象に行ったアレセンサとクリゾチニブの比較試験で、有効性や安全性に対する比較を行った。その結果、クリゾチニブ単剤投与に比べ、アレセンサを単剤投与した場合の無増悪生存期間が有意に延長されたことを評価した。副作用についても36パーセントの患者に便秘の症状が発現したにとどまり、クリゾチニブ単剤投与に比べて少ない結果となった。
アレセンサについて
アレセンサは経口のALK阻害剤。肺がんの一部において、ALK融合遺伝子が発がん因子であると発見されたことを受け、中外製薬が創製した。ALK融合遺伝子の活性を選択的に阻害し、腫瘍細胞の増殖を抑えて抗腫瘍効果を発揮する。2013年9月には「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する希少疾病医薬品として指定。また、優先審査品目指定を受けている。
死亡者数の最も多い肺がん
厚生労働省が発表した『2015年のがん罹患と死亡予測結果』によると、肺がんは罹患数では1位の大腸がんよりわずかに少ないものの、死亡数では27000人以上の差で第1位となっている。またWHOによると、肺がんのうち非小細胞肺がんが占める割合は85パーセントとも言われており、今後の開発は大きな役割を担っていると言える。

中外製薬 ニュースリリース
http://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20160519100000.html