「ループス腎炎」に対して
2016年5月13日、中外製薬株式会社(以下、中外製薬)は、免疫抑制剤「セルセプトカプセル250」および「セルセプト懸濁用散31.8%」(一般名:ミコフェノール酸モフェチル、以下「セルセプト」)について、厚生労働省より「ループス腎炎」に対する効能・効果追加の承認を取得したことを発表した。
セルセプトは、腎移植、心移植、肝移植、肺移植、膵移植を受けた患者の免疫系の活動を抑制し、拒絶反応が起こるのを防ぐ働きを行い、ループス腎炎に対しても、免疫系の活動を抑制して疾患の活動性を低下させる働きをする。
ループス腎炎
ループス腎炎は、既に難病指定されている、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)に合併する難治性の疾患で、国内の患者数は約30,000人と推定されており、妊娠可能な年齢層の女性が罹患しやすく、妊娠・分娩をきっかけとして悪化することが知られている。
セルセプトの承認
セルセプトは、2015年7月10日、ループス腎炎に対する効能・効果について公知申請に該当すると評価された後、7月31日に同効能・効果の追加に対し、公知申請を行って差し支えないと正式に決定された。この決定により、中外製薬は8月24日に効能・効果追加について公知申請を行い、今回の承認取得となった。
セルセプトは、欧米各国の治療ガイドラインにおいても、ループス腎炎に対する標準的治療薬の一つとして推奨されている一方で、催奇形性を有する薬剤であるため、セルセプトの使用についての留意事項について通知が出されている。
今回のセルセプト承認取得は、国内のループス腎炎治療を大きく進展させ、多くの患者に貢献できると期待される。

中外製薬株式会社 ニュースリリース
http://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20160513