2種類の物理的結合相乗効果を利用
2016年4月27日、内閣府主導の革新的研究開発推進プログラム(伊藤耕三プログラム・マネージャー)において、北海道大学大学院先端生命科学研究院・龔剣萍教授らの研究グループは、トリブロックコポリマーをベースとした超高強度ハイドロゲルの開発について発表した。
背景
ハイドロゲルは、網目状につながったポリマーが多量の水を含んだ材料であり、生体の性質と非常に近いことから、生体親和性が高いと考えられ、医療材料としての応用が期待されている。
しかし、従来のハイドロゲルは水を大量に含んでいるため極めて脆く、コンタクトレンズなどごく限られたものを除き、実際の材料としての使用は困難だった。
研究成果
研究グループは、トリブロックコポリマーからなるハイドロゲルにポリアクリルアミドというポリマーを加えることにより、水を大量に含みながらも極めて高い強度を示す新規高強度ダブルネットワークゲルの創製に成功し、その強度は上記4つの高強度ゲルの強度を上回った。また、切断面が再接着するという容易な修復性を有している。
今回開発されたハイドロゲルは、水を大量に含みながらもゴムに匹敵する強度をもつ、極めて丈夫な材料である。
さらに、構成する2種類の物理的結合により、生体内のような塩を含んだ環境でもその強さを発揮、また様々な形に成型したり、切断面を簡単に修復したりすることも可能である。現在は生体適合性のあるポリマーではないものの、今後の研究により、体内での使用を含む医療用途への応用が期待される。
(画像はプレスリリースより)

科学技術振興機構 プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160427-3/index.html