薬の開発で役立つことが期待できる
慶應義塾大学医学部と国立研究開発法人 日本医療研究開発機構は、2月14日、ヒトESおよびiPS細胞から1週間で効率良く神経細胞を分化させる方法を開発したと発表した。
この開発を行ったのは、慶大医学部坂口光洋記念講座(システム医学教室)・洪実教授、そして生理学教室・柚崎通介教授からなる研究グループ。神経細胞の異常で発生する疾患に対する薬の開発で、役立つことが期待できるという。
再生医療分野の進展を阻む一因だった手間やコスト
現在、ES細胞とiPS細胞から分化させた様々な細胞を用いて、再生医療での細胞移植や、病気や個人に合う薬のスクリーニングへの活用が試みられている。
分化は従来、ESおよびiPS細胞から胚様体と呼ばれる細胞塊を作り、培養条件を順次変えて徐々に細胞を分化させる方法が主流だった。しかしこのような方法は、手間やコストがかかるのみならず、場合によっては1ヶ月以上という長期の複雑な培養が必要となる。必要な量の確保と、均質かつ高品質に分化した細胞を得ることが難しいため、再生医療分野の進展を阻む一因となっていた。
1週間で神経細胞を分化
同研究グループは今回、単層培養されているヒトES細胞、そしてヒトiPS細胞に、数回添加するという簡単な操作だけで効率良く神経細胞の分化を誘導できる合成mRNAのカクテルの創出に成功。この「細胞分化カクテル」は、1週間という短期間ながら、90%以上という高い効率で神経細胞を分化させることが可能だという。
同学はこの「細胞分化カクテル」が、神経細胞の基礎研究のみならず、神経細胞の異常で発生する様々な疾患に対する薬の開発、病態解明、そして再生医療などに役立つことが期待できるものとしている。
(画像はプレスリリースより)

ヒトES、iPS細胞から1週間で効率良く神経細胞を分化させる方法を開発 - 慶應義塾大学
https://www.keio.ac.jp/