運動機能回復に重要な脊髄神経細胞を特定
生理学研究所(以下、生理研)は2月3日、脊髄損傷後早期に運動機能回復に重要な脊髄神経細胞を特定できたことを発表した。
脊髄損傷は運動麻痺となる大きな要因だが、損傷を受けずに残っている神経細胞もあり、これらが運動麻痺の回復につながる可能性があると考えられてきたが、まだ不明だった。
そこで生理研では皮質脊髄損傷後のサルの損傷部位をバイパスして運動野から脊髄の運動ニューロンに伝える脊髄固定ニューロンに着目し、ウイルスベクターを用いた実験を実施。
サルの手指の運動がある程度回復した時期に、一時的にこの脊髄固定ニューロンを阻害した場合ではすぐに回復したが、損傷前から継続的に阻害した場合では回復が途中で止まってしまったという。
再生医療とは違う新たな治療法開発へ
生理研ではこれらの結果から、脊髄損傷後、回復には2段階の回復過程があり、初期の段階で脊髄固定ニューロンが働かないと回復が進まなくなることと、また一旦回復が進めば脊髄固定ニューロンの働きが低下していくことが明らかになったとしている。
このことから生理研は、脊髄損傷後に脊髄固定ニューロンを一時的に活性化させることで回復をより促進させることができ、現在主流である損傷部位の再生を目指す再生医療とは違う新たな治療法開発につながるとしている。
(画像はプレスリリースより)

生理学研究所 プレスリリース
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