「メタ記憶」の神経基盤を解明
順天堂大学、東京大学大学院による共同研究グループは1月13日、自分自身の記憶に関する能力「メタ記憶」の神経基盤を解明したと発表した。
「メタ記憶」は自分の考えや知覚を認知する能力「メタ認知」の中で、特に記憶に関する能力のことを言い、この「メタ記憶」に残る知識が効果的な学習へつながっていると考えられている。
しかし、「メタ記憶」は今まで精神機能と捉えられており、「メタ記憶」の神経基盤が存在しているかも不明であった。
そこで、同共同研究グループはヒトに近い霊長類にも「メタ記憶」の兆候があることに着目し、マカクサルを対象に問題の解明に取り組んだとしている。
高次脳機能障害の診断や治療法にも期待
サルに再認記憶課題を訓練し、課題遂行中にサルの全能神経活動を磁気共鳴機能画像法(fMRI法)で計測したところ、長期記憶に関わるメタ記憶処理時に背外側前頭葉9野が特異的に活動することが判明した。
そこで、またこの背外側前頭葉9野の神経活動を薬剤投与で、阻害してみると、機能不全が生じたという。
このことから「メタ記憶」の神経基盤が霊長類の大脳神経ネットワーク中に存在することが実証され、また背外側前頭葉9野の認知機能については今まで全く報告がなかったため、大きな発見であるとしている。
今後、効果的な教育方法の他、事故や脳梗塞などで起こる高次脳機能障害の診断や治療法へつながるとしている。
(画像はプレスリリースより)

国立研究開発法人日本医療研究開発機構 プレスリリース
http://www.amed.go.jp/news/release_20170113-02.html