肉腫の中でも発症頻度が極めて少ない疾患
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院は、1月23日、明細胞肉腫と胞巣状軟部肉腫を対象とする「ニボルマブ」の医師主導治験を開始すると発表した。
明細胞肉腫と胞巣状軟部肉腫は、代表的な希少がんである肉腫の中でも、さらに発症頻度が極めて少ない疾患。試験は、同センターを含む全国4施設で実施される。
企業による開発が積極的に行われていない
希少がんの臨床開発では、患者の数が極めて少ないことや、対象患者の情報集約システムが十分に構築されていないこともあり、患者登録に長い年月を要する。また、投資に見合った収益を承認後に獲得することが困難であるなどの理由から、企業による開発が積極的に行われていないのが現状だ。
明細胞肉腫は現在、手術による完全切除が唯一の治療法と考えられている。切除不能の場合、実施されるのは緩和療法のみであり、推奨される薬物療法は存在しない。胞巣状軟部肉腫も、基本的な治療法は手術による完全切除となる。切除不能の場合、分子標的薬「スニチニブ」が唯一NCCNガイドラインで推奨されているが、日本国内では同剤の肉腫への適応は認められていない。
新薬開発手法のモデルのひとつになる
「ニボルマブ」は、悪性黒色腫および一部の腎細胞がんに対する有効性が確認された薬剤。明細胞肉腫ならびに胞巣状軟部肉腫に対しても、有望な新規治療法として期待されている。
国立がん研究センターは、同試験を成功させることにより、超希少がんの臨床試験計画や新薬開発手法のモデルのひとつになることを期待しているという。
(画像は国立がん研究センターの公式ホームページより)

明細胞肉腫と胞巣状軟部肉腫の医師主導治験を開始 - 国立研究開発法人国立がん研究センター
http://www.ncc.go.jp/