バイオマーカー開発や治療ターゲットへ期待
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第二部の伊藤雅之室長らの研究グループは、1月13日、IGFBP3欠損がモノアミン代謝障害とシナプス成熟障害をもたらすことを発見したと発表した。
この発見は、発達障害のバイオマーカー開発や治療ターゲットへつながることが期待できるものだという。
レット症候群の研究から発見
同研究グループは2007年、遺伝性発達障害の代表的疾患であるレット症候群の研究から、その原因遺伝子MECP2が直接制御する遺伝子IGFBP3を発見した。
レット症候群は、特異な自閉的行動異常や知的障害など多彩な症状をきたす疾患。MECP2が原因遺伝子であることについては多くの報告が存在したが、症状あるいは病態を説明できる研究はこれまで存在しなかった。
そこで同研究グループは、同疾患の症状のうち何がIGFBP3の影響をうけているのかを調査。IGFBP3欠損マウスでは、行動量の増加(多動)と空間認知機能の低下(知的障害)が見られることを発見した。
新しい病態機序の解明への足がかりに
同研究グループは、発達障害の一因にIGFBP3の分子機能障害が関与している可能性を示唆。新しい病態機序の解明への足がかりとなる可能性があるとしている。
また、IGFBP3欠損がアスペルガー障害や自閉症など広範な発達障害に影響している可能性も推察し、バイオマーカー開発や治療ターゲットとなることについても期待が持てるとしている。
(画像はプレスリリースより)

GFBP3欠損はモノアミン代謝障害とシナプス成熟障害をもたらすことが明らかに - 国立精神・神経医療研究センター
http://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=327