薬剤耐性メカニズムを無効にできる手法を発見
国立法人千葉大学(以下、千葉大)は12月9日、薬剤耐性メカニズムを無効にできる手法を発見したと発表した。
肺感染症を引き起こすと言われている病原真菌アスペルギルス・フミガタスの治療方法には抗真菌薬(以下、アゾール薬)が使用されているが、長期間の使用によって耐性を持つようになってしまうと言われている。
耐性化には感染菌の進化が原因と考えられていたが、2007年にオランダの研究グループの報告から感染当初から耐性のある耐性株があることが判明していた。
また今年8月に、同大学は日本における「環境型アゾール薬耐性株」を発見しており、その耐性株はアゾール薬の標的分子であるタンパク質Cyp51Aの発現が異常に高いことが分かっていた。
新薬の開発へ期待
これらのことから千葉大ではCyp51Aに関与するSrbAという因子の遺伝子を破壊した変異株を作製したところ、各種医療用のアゾール薬に対して、8~64倍もの効果があったという。
またアスペルギルス・フミガタスが感染を進行させるには酸素が必要であること、SrbA遺伝子を破壊すると酸素濃度が低い環境では生育できなくなることから、SrbAを阻害することで感染の進行を抑えられると考えられるとしている。
千葉大は今回の結果が新薬の開発につながるとしている。
(画像はプレスリリースより)

国立法人千葉大学 ニュースリリース
http://www.chiba-u.ac.jp/