血栓にレーザを照射して溶解
浜松医科大学と浜松医療センター、そして浜松ホトニクスの研究開発チームは、11月28日、急性期脳梗塞に対するレーザ血栓溶解治療システムを開発したと発表した。
同システムは、急性期脳梗塞の血栓に対しレーザを照射して溶解し、閉塞血管の血流を再開通させるというもの。12月1日からは、安全性および有効性を確認する医師主導治験が開始される。
急性期にいかに障害を軽くできるか
脳梗塞は、脳の血管が閉塞することで片麻痺など様々な症状を引き起こす疾患。急性期にいかに障害を軽くできるかが、この疾患では治療の鍵となる。
発症後4.5時間以内における標準の治療法は、アルテプラーゼの静脈投与による血栓溶解療法だ。しかし、アルテプラーゼ投与で脳主幹動脈の血流が再開通しない場合や、発症から4.5時間以上経過してる場合は、他の方法による血栓除去が必要となる。
血栓除去は、現在では主に機械的な血栓除去カテーテルが用いられている。しかしこの方法は血管内皮損傷や脳出血などの可能性があり、より安全な治療法が求められていた。
レーザ光の吸収差を利用して開発
同チームは、血管内皮を損傷することなく血栓を選択的に溶解する血栓溶解治療システム開発にあたり、レーザ光に着目。波長が500-600nmのレーザ光は、血栓には吸収されるが、血管内皮ではほとんど吸収されない。この吸収差を利用して、血栓のみを選択的に溶解可能なレーザ装置と専用カテーテルを開発した。
同チームは、急性期脳梗塞の機械的血栓除去において、同システムが使用すべき第一選択の治療法となることを期待しているという。
(画像はプレスリリースより)

急性期脳梗塞に対するレーザ血栓溶解治療システムを開発 12月1日から医師主導治験を開始 - 浜松医科大学
http://www.hamamatsu.com/resources/pdf/news/2016_11_28.pdf