抗がん剤のジェネリック医薬品初の国際共同研究
東京大学医科学研究所と米国サウスカロライナ大学は、国際共同研究を行って、抗がん剤のジェネリック医薬品について、安全性を検証し、その成果を発表した。
世界的にジェネリック医薬品の安全性に対する研究は少ない中、今回行われた初の国際共同研究で得られたデータは貴重なものであると言える。
日本におけるジェネリック医薬品の市販後データ収集はユニークで珍しく、重要なものであり、今後のジェネリック医薬品に対する安全性を確保するに当たっても日本のデータが主要な役割を果たすことになる。
今回の研究では、抗がん剤のジェネリック医薬品の安全性情報に関して、世界中の学術論文、日米で収集した情報を徹底的に解析した。現時点で、日米欧において抗がん剤におけるジェネリック医薬品について安全性に懸念は認められなかった。
一方で発展途上国においては製造工程に由来する安全性上の懸念が認められた。
抗がん剤は最も高価な医薬品の一つであり、安価で同効果を期待できるとされるジェネリック医薬品は医療経済の観点から非常に重要な分野とされているが、これまで抗がん剤のジェネリック医薬品の安全性に関して国際的かつ包括的な解析はあまり行われていない。
今後のさらなるデータ収集及び解析を行うことで、先進国においては今以上の安定性や普及、発展途上国においては見つかった問題点への改良案に役立つのではないかと期待されている。
ジェネリック医薬品のメリット・デメリット
ジェネリック医薬品とは後発医薬品とも呼ばれ、先発医薬品の特許権が切れた後、同じ成分で他の医薬品メーカーが販売できる医薬品のこと。
新規開発の必要性が無いため、先発医薬品に比べ薬価が安く医療費の軽減につながるとして厚生労働省が普及を進めている。
しかし、物質特許・用途特許が切れた後に製造されたジェネリック医薬品であっても、製法特許・製剤特許などの有効期限が残っている場合がある。
その場合添加物や、錠剤・カプセル・粉末などの剤形も、先発医薬品と同様にすることが出来ず、薬の吸収速度や、有効成分が分解される状態に差異が生じ、薬の作用、副作用に影響するのではないかという懸念もある。
薬価が安く剤形を工夫できる利便性がある一方で、安全性、有効性に関しては今後も詳細な研究が必要となるだろう。

東京大学ホームページ
http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html