がんの縮小効果が認められた
国立研究開発法人国立がん研究センターは、11月8日、RET融合遺伝子陽性の肺がんに対する分子標的治療薬「バンデタニブ」の有効性を確認したと発表した。
この発表は、国立がん研究センターと東病院呼吸器内科長後藤功一を研究代表者とした共同研究グループの研究に基づくもの。投与された患者の約半数に、がんの縮小効果が認められたという。
患者を集めることは難しいRET肺がん
国立がん研究センターは2012年、肺がんの新しい遺伝子異常としてRET融合遺伝子を同定。基礎研究において、RETを阻害する分子標的治療薬がRET融合遺伝子陽性の肺がんに有効である可能性を見いだしている。そのため、新たな分子標的治療の開発に注目が集まった。
しかし、RET肺がん患者は非小細胞肺がんの1~2%と希少であるため、臨床試験に必要な数の患者を集めることは難しい。このため国立がん研究センターは、2013年に全国規模の遺伝子診断ネットワーク「LC-SCRUM-Jaan」を設立。全国の肺がん患者の中からRET肺がんを特定し、「バンデタニブ」の臨床試験を実施してきた。
患者のもとへ早期に届ける
この研究では、19人のRET肺がん患者が「バンデタニブ」の投与を受けた。結果、治療を受けた患者の約半数に、がんの明らかな縮小が認められている。
国立がん研究センターは、分子標的治療薬がRET肺がんの新しい治療になることが期待されるとして、今後も「バンデタニブ」について製薬企業と申請に向けた協議を行い、患者のもとへ早期に届けることを目指すとしている。
(画像はプレスリリースより)

RET融合遺伝子陽性の肺がんに対する分子標的治療薬「バンデタニブ」の有効性を確認 - 国立研究開発法人国立がん研究センター
http://www.ncc.go.jp/