米国血液学会(ASH)にて臨床データを公表
大日本住友製薬株式会社は、2016年12月3日から6日にかけて米国サンディエゴで行われる血液学会の年次総会において、開発中のWT1タンパク由来の治療用がんペプチドワクチンDSP-7888に関する臨床データを発表することとなった。
アザシチジンを含む低メチル化剤は、高リスク骨髄異形成症候群に対しての既存治療法の1つである。
また、DSP-7888は、WT1タンパク由来の治療用がんペプチドワクチンであり、細胞障害性Tリンパ球を誘導するペプチドおよびヘルパーT細胞を誘導するペプチドを含む新規ペプチドワクチンの1つ。
その投与によって誘導される細胞障害性T細胞が、WT1タンパクを発現するがん細胞を攻撃するため、種々の血液がんや固定がんへの高い治療効果が期待されている薬剤である。
DSP-7888は骨髄異形成症候群治療に有効と判断
今回の研究では、フェーズ1の試験段階として、骨髄異形成症候群患者の中でも特に、既存治療薬アザシチジン無効例の高リスク患者7名と、輸血依存性の低リスク患者5名の計12名に、DSP-7888を投与した。
それにより、DSP-7888の安全性、忍容性、遅延型過敏症(DTH)反応、WT1に対する細胞障害性Tリンパ球誘導、末梢血および骨髄細胞中におけるWT1のmRNA発現などについて検証し、評価を行った。
その結果、最も一般的な薬物有害反応は、注射部位反応のみ現れたものの、それ以外の用量依存性の毒性は認められず、対象となる骨髄異形成症候群の患者において忍容性があると判断された。
また、評価可能な12人の患者全てについて、予備臨床活性を分析したところ、病勢コントロール率は66.6%となり、細胞障害性Tリンパ球誘導は50%の患者に観察された。
以上の結果からフェーズ1の段階においてはDSP-7888は骨髄異形成症候群患者に十分に許容される物と判断され、今後さらなる評価を行うため、アザシチジン無効の患者と小児患者に対するフェーズ2の臨床試験が現在進行形で行われている。

大日本住友製薬
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