脳の細胞中で遺伝子機能を解析する
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所は、10月27日、脳の細胞中で遺伝子機能を解析するための新規ベクターシステム「Supernovaシリーズ」を開発したと発表した。
この発表は、同研究所の形質遺伝研究部門(岩里研究室)羅研究員(元総合研究大学院大学大学院生)と水野助教らが行ったもの。
脳の神経回路メカニズムの理解へ
哺乳類の脳は、無数の神経細胞(ニューロン)が複雑なネットワーク(神経回路)を作ることで、様々な機能を生み出す。
高密度で存在するニューロンから、一部だけをランダムに選んで標識し、その細胞のみで目的の遺伝子をノックアウトすることができれば、脳の神経回路が形成され機能するメカニズムを細胞レベル・分子レベルで理解することに繋がる。
しかしこれまで、まばらな細胞標識と遺伝子ノックアウトの両方を効率よく実行するシステムは存在しなかった。
遺伝子機能解析に貢献へ期待
今回開発された「Supernova」法の行程は、2種類または3種類のベクターを組み合わせて細胞に導入するだけだという。それだけで、少数の細胞のみを蛍光タンパクで可視化できるとともに、可視化された細胞だけで目的の遺伝子をノックアウトすることが可能となるとしている。
同研究所はこの手法について、幅広い生命科学分野において単一細胞の遺伝子機能解析に貢献することが期待されるとしている。
(画像はプレスリリースより)

どの領域・細胞種の脳細胞でも高輝度標識し、任意の遺伝子を改変する新技術「Supernovaシリーズ」 - 国立遺伝学研究所
https://www.nig.ac.jp/