循環血漿中のDNAを用いる
徳島大学は、3月27日、Epstein-Barrウイルス(EBV)関連胃がん患者では、循環血漿中のDNAを用いることにより、低侵襲かつリアルタイムで胃がんの診断や経過観察が可能になると発表した。
この研究を行ったのは、同大大学院医歯薬学研究部の井本逸勢氏と、京都府立医科大学消化器外科准教授・市川大輔氏からなる研究グループ。
胃がんの約一割で感染が認められるEBV
EBVは、胃がんの約一割の症例で感染が認められるウイルス。EBV関連胃がんは、がん細胞内にEBV感染が認められるため、現在は手術時に摘出されたがん組織を用いて陽性・陰性が診断されている。しかし、がんの治療中や再発時は侵襲が大きいため、検査は困難となる。治療効果の定量的評価や、再発時における治療法選択のための情報を得ることは不可能だった。
EBVは、特定の遺伝子における高頻度な変異などが報告されている。そのため、これらの変化に対する分子標的治療が開発された場合、EBVは重要な分子マーカーになり得ると同研究チームは判断。循環血液中の遊離DNAをリアルタイムPCR法で解析するリキッドバイオプシー技術により、がん組織を用いることなく胃がんのEBV感染を低侵襲で検出する方法を開発した。
治療戦略に有用な可能性を持つ新たなツール
今回開発した方法は、検体採取が採血のみで済む。そのため、低侵襲で何度でも行うことが可能となった。同研究グループはこの方法を、胃がんの治療戦略に有用な可能性を持つ新たなツールであるとしている。
同グループはこの方法について今後、症例を増やし臨床的な有用性を確認すると共に、検査の実用化のためのさらなる高精度化を図るべく技術開発を進めるとしている。
(画像はプレスリリースより)

Epstein-Barrウイルス関連胃がん患者では、循環血漿中のDNAを用いることで胃がんの診断や経過観察が可能 - 徳島大学
http://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2017032100057/