制御因子「Nrf2」の過剰な活性化が原因
東北メディカル・メガバンク機構は、2月24日、腎性尿崩症の新たな発症メカニズムを発見したと発表した。
この発見を行ったのは、東北大学大学院医学系研究科・鈴木隆史講師らの研究グループ。同グループによると、腎臓の発生期における遺伝子発現の制御因子「Nrf2」の過剰な活性化が、腎性尿崩症を引き起こすという。
大量の希釈尿の排泄に至る腎性尿崩症
腎性尿崩症は、腎臓・腎尿細管細胞の抗利尿ホルモンに対する反応の障害により、尿の濃縮が不可能となり、大量の希釈尿の排泄に至るという疾患。
同グループは、「Nrf2」を高レベルで発現する遺伝子改変マウスを作製した場合、マウスは食道閉塞により生後間もなく死亡することを既に発見していた。その知見を生かして今回は、食道における「Nrf2」発現のみを特異的に抑制したマウスを作成。食道以外の「Nrf2」発現の影響を調べ、腎性尿崩症の発症メカニズムに迫った。
過剰な環境ストレスへの暴露にリスクがある
マウスを調査した研究グループは、腎臓における「Keap1」欠失と、それが惹起するNrf2の過剰活性化が、腎性尿崩症を引き起こすことを発見。また、この腎性尿崩症の発症には、腎臓の発生期における「Nrf2」の過剰活性化が重要であることを明らかにした。
同グループはこの発見により、腎臓が形成される時期の過剰な環境ストレスへの暴露は、腎性尿崩症を引き起こすリスクがあることが示唆されたとしている。
(画像はプレスリリースより)

腎性尿崩症の新たな発症メカニズムを発見‐胎児・乳児期の環境ストレスは腎性尿崩症を引き起こす - 東北メディカル・メガバンク機構
http://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/19576