糖尿病治療のリスク
新潟大学の研究グループは、糖尿病治療における低血糖脳症に対し動物モデルを作成し、そのモデルを用いて治療標的のアルデヒドを抑制する治療薬を開発した。
糖尿病治療でのインスリンなどの血糖降下薬には低血糖脳症のリスクがあり、重度の脳障害や認知症の原因となる。低血糖脳症の患者は増加しているが治療薬はない。
治療法の解明に必要な動物モデルは、同症による脳のダメージで呼吸停止となり人工呼吸器を使用するなど、難易度が高かった。
治療標的はアルデヒド
研究グループは、脳波をモニターしながら脳の障害をチェックする方法で、人工呼吸器を使用しない動物モデルを確立した。
このモデルを用いて、ブドウ糖注射後に脳内に蓄積したアルデヒドの4HNEが神経細胞を傷害し、低血糖の時間が長引くと障害の程度が高度になることを発見した。
さらに、アルデヒドを分解する酵素を刺激する薬剤をブドウ糖と共に注射することで、アルデヒドが減少し、神経細胞の障害が抑制されることを確認した。
研究の結果、低血糖脳症の治療標的は脳内のアルデヒド4HNEであり、同症の治療薬としてアルデヒドの分解酵素を刺激する薬剤(ALDH2 アゴニスト)が有望であることを解明した。
今後、研究グループは、同症の治療薬候補を同定し、最も効果がある治療薬の実用化を進めていく。
(画像はプレスリリースより)

新潟大学 プレスリリース
http://www.niigata-u.ac.jp/research/study/270618.pdf