メラノーマがん細胞転移に関与するタンパク質の同定
北海道大学大学院薬学研究院、松田 正教授のグループはメラノーマ(悪性黒色腫)がん細胞の転移を調節する細胞内タンパク質、Signal-transducing adaptor protein-2(STAP-2)を同定した。
メラノーマは日本において1年間で人口10万人あたり1~2人発症するといわれており、近年増加傾向にある。また、転移しやすい上に、転移発見後の5年生存率が低く、化学療法、放射線治療が効きにくいことから悪性度の高いがんとして知られている。
メラノーマ治療にはその悪性度から新たな標的分子の同定と、より有効な抗がん剤の開発が待たれている。
STAP-2の役割
今回、北海道大学大学院薬学研究院、松田 正教授のグループはメラノーマがん細胞の転移を調節する細胞内タンパク質としてSTAP-2を同定した。
STAP-2の発現がメラノーマがん細胞の形態、運動能や生存に影響し、メラニン合成酵素であるチロシナーゼの量を変化させることをつきとめた。また、STAP-2の発現量の変動により、生体内でのがん転移臓器を変化させることを確認した。
さらに、STAP-2のメラノーマがん細胞内におけるチロシナーゼ発現の影響を検討した結果、STAP-2によってチロシナーゼのタンパク質量の調節が起こり、転移先臓器の決定を行うことが明らかになった。
今後の展望
STAP-2 は抗がん剤開発の重要で新しい標的である。STAP-2 やチロシナーゼを標的とした分子標的治療薬はメラノーマの転移を制御する新しい抗がん剤として、メラノーマ治療の一端を支えていくと考えられる。

北海道大学 プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/news/150603_pharm_pr.pdf