手術で改善する可能性のある認知症だが、認知度は低い
2015年5月12日、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーは、同社が実施した特発性正常圧水頭症(iNPH)に関する実態調査の結果を発表した。
この調査は2014年6月13日から14日にかけて、無作為に選ばれた一般男女1000名を対象にインターネット上で行われたものだ。
iNPHは認知症の原因となる疾患の一つ。頭蓋内に過剰に髄液がたまり、脳が圧迫を受けることが原因で歩行障害・認知症・尿失禁といった症状を引き起こす。
原因を手術で除去することで改善が見込める認知症だが、調査によれば9割以上がiNPHについて「知らない」と回答しており、「改善可能な認知症」の原因疾患が見過ごされている可能性が高いことが分かった。
医療機関におけるiNPH診療経験率は依然低く
同社は一方で、 2014年11月に34診療科の医師20288名に対してもiNPHを診療しているかどうかについて調査を実施している。
それによるとiNPH診療経験率については、かかりつけ医を含む一般内科医と認知症診療を担う精神科でともに6.0%にとどまった。この数字は2013年の調査から改善されていない。
一般男女に対して、身内に「認知症」を疑われる者がでた場合の行動を尋ねたところ、医療機関を訪れるとした人が80%であるものの、iNPHの専門家とされる脳神経外科または神経内科を受診するとした人は45%しかいなかった。
高齢者の1.1%にあたる36万人程度がiNPHの疑いがある患者の有病率であると推計されている。それを考慮すると、同社はiNPHの認知度の向上と診療の普及が急務の一つであると結論づけている。
(画像はプレスリリースより)

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニー プレスリリース
http://www.jnj.co.jp/jjmkk/press/2015/0512/index.html