スプレー蛍光試薬を開発
東京大学は、JST戦略的創造研究推進事業を通じて、東京大学大学院医学系研究科・薬学系研究科の浦野教授らのグループによって、がん細胞を光らせることで検出する新しいスプレー蛍光試薬の開発に成功したことを2015年3月13日に発表した。
今回の開発の背景とは
微小のがんを術中に発見して取り残しを防止することは、手術後のがんの転移を防ぎ、患者の予後を改善する上で非常に重要な課題であった。浦野教授らのグループは、がん細胞中にある糖鎖分解酵素活性が高いことを利用し、内視鏡や腹腔鏡手術、外科手術の際に、がんが疑われる部分にスプレーを行うだけで数分でがんの部分のみを光らせて検出することを可能とする蛍光試薬を開発した。
この試薬そのものは無色透明で蛍光を発しないものの、がん細胞中に含まれるβ-ガラクトシダーゼと反応することで構造変化が生じ強い蛍光を発生する物質になるよう設計してある。
今回の開発では、モデルマウスにさまざまな種類の卵巣がん細胞を転移させ、この試薬を投与。従来のたんぱく質分解酵素活性を標的とする試薬で可視化することができなかったがん細胞を含め、全てのがん細胞を光らせて可視化させることに成功した。

日経プレスリリース
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