真菌を起因とする感染症、真菌性菌腫
エーザイ株式会社は、1月8日、真菌性菌腫(eumycetoma)の治療薬開発についてのプレスリリースを発表した。
真菌性菌腫は、真菌を起因とする感染症であり、アフリカ大陸などの熱帯および亜熱帯地域に多く見られる。「世界で最も顧みられない病気」の一つであるとされている。
情報が世界的に著しく不足している
菌腫(マイセトーマ)は、ある種の細菌あるいは真菌の感染を原因とする慢性・進行性の局所感染症。手足の皮下に腫瘍様の病変を生じ、近接する組織を破壊、侵された四肢の機能を奪う。マイセトーマに関する伝播の状況や有病率、感染経路および治療感受性などについての情報は、世界的に著しく不足しているのが現状だ。
スーダンで特に広く蔓延している真菌性菌腫は、やはり明確な感染経路は解明されていない。しかし一般的には、汚染された植物のとげの上などを裸足で歩くことで真菌が皮膚から体内に侵入し、感染すると考えられている。主な症状は手足に現れる巨大な腫瘍であり、症状が進行すると歩行や労働が困難となる。
新たな治療薬の開発が求められていた
現在使用されている真菌性菌腫の治療薬は、高価である上に毒性が強く、12カ月の投与でも患者の約30%しか治癒しないといった問題がある。新たな治療薬の開発が求められていた。
エーザイは、真菌性菌腫に対する強い抗真菌作用を示す同社のアゾール系抗真菌剤「E1224」について、Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)と共同開発を行う契約を締結。2016年より、DNDiおよびスーダンのハルツーム大学菌腫研究センター(MRC)が真菌性菌腫の患者を対象とした臨床開発を行うとしている。

世界で最も顧みられない病気の一つである真菌性菌腫の治療薬開発 - エーザイ株式会社
http://www.eisai.co.jp/company/atm/activities/25.html