迅速審査に指定
エーザイ株式会社は、2016年1月12日、欧州統括会社エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが新規抗がん剤レンバチニブメシル酸塩(以下、レンバチニブ)について腎細胞がんに係る適応申請を欧州医薬品庁(EMA)に行ったと発表した。
レンバチニブは甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州で販売されている。このたびの進行または転移性腎細胞がんの適応については、EMAから貢献が期待されるとして迅速審査の指定を受領した。
また、米国食品医薬品局(FDA)によるブレイクスルーセラピーの指定で、2015年11月に適応拡大を申請し、日本でも申請の協議を予定している。
無憎悪生存期間を延長
手術が難しい進行または転移性腎細胞がんの治療には分子標的薬を処方するが、5年生存率は上がらず、アンメット・メディカル・ニーズを満たす薬剤が求められている。腎がんの罹患者は欧州に約11万5,000人とされ、腎臓でのがんの内、腎細胞がんが90%以上となる。
今回、臨床第II相試験を用いて申請したが、これは、血管内皮細胞増殖因子を標的とした前治療歴をもち、切除不能な進行または転移性腎細胞がんの患者に対し実施したもの。
レンバチニブとエベロリムスの併用投与、レンバチニブ単剤投与、エベロリムス単剤投与の3群で有効性と安全性を比較した結果、併用投与群がエベロリムス単剤投与群より主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を延長し、レンバチニブ単剤投与群がエベロリムス単剤投与群よりPFSを延長した。併用投与群とレンバチニブ単剤投与群はエベロリムス単剤投与群より効果が高いと実証した。
併用投与群で観察された有害事象には下痢、食欲減退、疲労があり、グレード3以上では下痢、高血圧、疲労が見られた。

エーザイ株式会社 ニュースリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201602.html