糖尿病治療に新たな道筋
2015年12月25日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のエイミー・シェン教授はワシントン大学、武漢理工大学の共同研究により、凍結時の危険から膵臓のランゲルハンス島を保護するだけでなく、リアルタイムで細胞の生存状態まで確認できる、超低温凍結保存の新たな手法を開発したと発表した。
背景
糖尿病は死亡原因の上位を占めている疾患であり、1型糖尿病の患者は、インスリン産生細胞が免疫作用により破壊されるため、毎日インスリン注射を打たなくてはならない。
インスリン投与への依存を断ち切るための効果的な治療法は、膵臓にあるランゲルハンス島(膵島)を移植することである。ランゲルハンス島の移植は大規模な外科手術を必要とせず、局所麻酔で済む場合がほとんどで、膵臓ごと移植する場合に比べ、安価で安全な手術が行える。
しかし、残念ながら現在はヒト同士の同種移植しかできず、インスリン産生細胞の安全な採取や保存、輸送にはいまだ多くの課題が存在する。
研究成果
今回研究チームが開発した新手法は、微小液滴を生成するマイクロ流体装置を用いて、ランゲルハンス島を海藻から抽出した天然高分子、アルギン酸塩で作られている、ハイドロゲルで包み込むものである。これにより凍結時の危険からランゲルハンス島を保護することが可能となった。
また、研究チームは酸素感受性蛍光色素をハイドロゲルカプセルの中に加えることで、ランゲルハンス島の酸素量をリアルタイムで測定することができ、酸素の摂取量を見ることで、細胞が生きて健康な状態であることを確認できる。
マイクロカプセル化が実用化されれば、移植に必要な臓器不足などの、ランゲルハンス島移植に伴う課題の解消ができ、1型糖尿病で苦しむ患者がインスリン注射から解放され、普通の生活を取り戻すことも可能になる。
(画像はニュースセンターより)

沖縄科学技術大学院大学 ニュースセンター
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