がん診断 新たなバイオマーカー候補に
理化学研究所(以下、理研)のピエロ・カルニンチチームリーダー、ボグミル・カチコフスキー国際特別研究員と、オーストラリア・ハリー・パーキンス医療研究所のアリスター・フォレスト教授(理研客員主管研究員)らの国際共同研究チームは、様々な臓器のがんで異常な発現を示す、RNA群の発見を発表した。
背景
RNAはがん細胞で発現が変化するため、がん診断のバイオマーカーや、抗がん剤の標的分子の候補となる可能性がある。バイオマーカーは生体分子や遺伝子発現の変化を捉えて、がんを含む疾患の有無や進行度を正確に把握するために用いられる。
血液検査でがんを診断できるバイオマーカーは少なく、効果的ながん治療を実現するため、信頼性が高く早期発見が可能ながんのバイオマーカー探索が進められている。
研究成果
国際共同研究チームは、様々な臓器・組織のがんに由来する225種の細胞株と、それらに対応する339種の正常細胞を対象に、発現データを解析し、がん細胞における発現量の上昇・減少、又は、発現のオン・オフが切り替わっているRNAを探索した。
解析の結果、多様ながん細胞で発現が変化するRNAは2108種あり、その中で1595種類ががん細胞で発現が上昇、又は正常細胞で発現せずがん細胞のみで発現しているものだった。
さらに今回の研究において、反復配列に由来するRNAの発現上昇が、がん化の一般的な傾向であることが示唆された。
今回の結果により、RNAが多様な臓器のがんでバイオマーカーとして利用できる可能性が期待される。また、これらのRNA群と発がんとの関係を明らかにすることで、抗がん剤の新たな標的となる可能性もある。
(画像はプレスリリースより)

理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2015/20151224_1/