血液バイオマーカーを発見
国立研究開発法人国立がん研究センター(略称:国がん)は、共同研究により、健常人の血中に一定量存在し、善玉コレステロール(HDL)を形成するタンパク質であるアポリポプロテインA2(apoA2)のアイソフォームが、早期膵がんや膵がんリスク疾患で低下することを発見した。
背景
膵がんは早期発見が困難であり、他のがん種と比べ、非常に予後不良ながんである。膵がんの治療成績の向上には、血液検査などによって早期膵がんや膵がんのリスクが高い疾患をスクリーニングし、画像検査などによる精密検査で病変を捉える早期診断法の開発が必要とされている。
研究成果
研究グループは、米国国立がん研究所(National Cancer Institute:NCI)との共同研究で、早期膵がん患者と健常人の血液を用いて、apoA2アイソフォームを測定したところ、健常者に比べ早期膵がん患者で低下していることが確認された。
また、既存の膵がんバイオマーカーであるCA19-9と比べて高精度でI期、II期膵がんを検出できることも確認され、apoA2アイソフォームは膵がんにおける、信頼性の高い血液バイオマーカーなりうる可能性があると認められた。
さらに、研究グループはapoA2アイソフォーム検査を実用化するために簡便な検査法の開発に取り組み、検査キットの作製(現在、研究用試薬)に成功した。判別性能の検討を行ったところ、既存の膵がんバイオマーカーであるCA19-9と比較して、早期膵がんをより高精度で検出できた。
ApoA2アイソフォームを単独またはCA19-9と組み合わせて検診として用いることで膵がんによる死亡率減少への貢献が期待される。また、apoA2アイソフォームの検査の早期膵がんや膵がんリスク疾患に対する有用性を確認すると共に、体外診断薬としての承認を得ることを目指している。
(画像はプレスリリースより)

日本医療研究開発機構 プレスリリース
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