様々な疾患の予防や治療への貢献に期待
東邦大学医学部・田丸輝也講師と、東京大学大学院理学研究科・小澤岳昌教授の研究チームは、マウスの皮膚、脳、肝臓などの細胞・組織を用いた研究で、哺乳類の体内時計を駆動する日周性酵素活性の振動メカニズムを解明したと発表した。
背景
全身の細胞で時を刻む体内時計は、ゲノム遺伝子の約10%に相当する様々な生理機能に日内リズムもたらし、それぞれが調和した最適なタイミングで働くベースとなる。
現代社会における夜型化、グローバル化は、体内時計を乱している。これは、長い進化の末に獲得した体内時計をベースとした適応防御プログラムに作動不全をもたらし、生活習慣病、がんなどの様々な疾患増加の一因となっている。
研究成果
研究グループは、体内時計の中核分子である時計タンパク質の一種CRY(クリプトクローム)が、タンパク質リン酸化という酵素反応の周期的抑制によって日周性リン酸化振動を生むことを発見した。
また、体内分子時計の複数の歯車を連動させるクリティカルな歯車(調節ループ)として、CK2という酵素による時計タンパク質BMAL1の日周性リン酸化反応のプロセスを生細胞において、光を利用したリアルタイム測定などで捉え、日周性酵素反応の振動メカニズムを解明した。
今後この成果をもとに、日周性リン酸化振動システムをターゲットにした体内時計の調整法を開発することで、体内時計の機能不全を要因とする睡眠障がいや、糖尿病、循環器系疾患などの生活習慣病やがんをはじめとした様々な健康問題、疾患の予防、改善、及び治療に役立てることが期待される。
(画像はプレスリリースより)

東邦大学 プレスリリース
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