γ-チューブリン特異的阻害剤 開発に成功
筑波大学生命環境系・臼井健郎准教授、知念拓実研究員と筑波大学数理物質系、岡山大学、東京薬科大学、理化学研究所、ドイツ・ハイデルベルク大学の共同研究グループは、γ-チューブリン阻害作用を示す化合物の開発を進め、γ-チューブリン特異的阻害剤Gatastatinの開発に成功した。
背景
細胞骨格の一つである微小管はα/β‐チューブリンが重合してできる中空のチューブであり、細胞分裂期で染色体を均等分離する紡錘体の主要構成タンパク質である。α/β‐チューブリンに対する阻害剤の幾つかは、細胞分裂を活発に行っているがん細胞に対する治療薬として使用されているが、副作用の問題は解決していない。
γ-チューブリンが細胞分裂期に活性化すること、一部のがん細胞で過剰発現していることなどから、副作用の少ない、新たな抗がん剤の標的タンパク質としての可能性が示されていたものの、特異的阻害剤は知られていなかった。
研究成果
研究グループは、γ-チューブリン阻害剤の開発を目的に、α/β‐チューブリン阻害剤であるGlaziovianin A、Plinabulinの合成展開を進め、その結果、γ-チューブリン特異的阻害化合物Gatastatinの同定に成功した。
また、Gatastatinを用いて細胞内γ-チューブリン機能解析を行ったところ、γ-チューブリン機能が細胞分裂期後期に重要であることが明らかになった。
今回の研究結果より、細胞内γ-チューブリン機能の解析や、γ-チューブリンを標的としたがん化学療法の可能性を検討することが可能になった。今後、より活性の強いγ-チューブリン特異的阻害剤の開発や、γ-チューブリンを標的とした、新たな抗がん剤の開発が期待される。
(画像はプレスリリースより)

筑波大学 プレスリリース
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