スクリーニング系の開発に世界で初めて成功
北海道大学遺伝子病制御研究所・藤田恭之教授の研究グループは、正常上皮細胞が持つ「抗腫瘍能」に焦点を当て、がん予防薬の発見につながる低分子化合物スクリーニングアッセイ系の構築に、世界で初めて成功した。
背景
現在、日本人の3人に1人が、がんで亡くなっている。がんの治療効果を向上させるには、がんをより早期に見つけ、予防的に治療することが望まれるが、現在のところ科学的な効果が実証された、がんを予防するための薬は存在していない。
ヒトに悪性のがんが生じる際には、複数のがん原性変異が細胞に蓄積することが知られており、多くの場合、私たちの身体には、少数の変異を持った「がん前段階」の細胞が存在しているが、それらを予防的に排除する治療法はまだ見つかっていない。
研究成果
研究グループはこれまでの研究で独自に樹立した哺乳類培養細胞系を用いて、正常上皮細胞が持つ「抗腫瘍能」を亢進させる低分子化合物を同定するスクリーニング系の確立に取り組んだ。
その結果スクリーニング系の確立に成功し、レベッカマイシンの誘導体である低分子化合物VC1-8を同定した。VC1-8は哺乳類培養細胞系とマウスの器官培養系によって、正常細胞層から変異細胞の排出を促進することを確認した。
今回の研究のさらなる発展により、近い将来にがん予防薬の発見につながり、薬でがんを予防していくことが期待できる。
(画像はプレスリリースより)

北海道大学 プレスリリース
<a href=" http://www.hokudai.ac.jp/news/151026_cris_pr.pdf " target="_blank"> http://www.hokudai.ac.jp/news/151026_cris_pr.pdf </a>