遺伝性疾患の発症プロセス解明にも
横浜市立大学大学院生命医科学研究科・奥田昌彦特任助教と西村善文学長補佐は、神戸大学バイオシグナル研究センター・菅澤薫教授らとの共同研究で、損傷したDNAを見つけたタンパク質が、その傷を除去して治すタンパク質を呼び込むメカニズムを解明した。
研究成果
DNAに傷がついてしまう状態を修復する仕組みの一つとして「ヌクレオチド除去修復」がある。DNA損傷部位と周辺のヌクレオチドを除いて、新しいものに作り替え、その際、DNAに生じた傷を最初に見つけて、修復を開始する重要な働きをするものが、XPCタンパク質である。
DNAの傷を見つけた後、XPCタンパク質は、損傷周辺のヌクレオチドを切断するためDNAの二重らせんを巻き解くタンパク質TFIIHを呼び込む。TFIIHは、10種類の異なるタンパク質からなる大きな複合体で、ふだんは基本転写因子として、転写を開始するために働いているが、DNA修復の際にも重要な役割を果たす。
今回の研究では、XPCタンパク質がTFIIH複合体を呼び込むために、TFIIHの構成メンバーであるp62タンパク質の結合部分であるPHドメインと結合することを、NMRを用いて解明した。
今後への期待
ヌクレオチド除去修復は、XPCタンパク質やTFIIHの他にも多くのタンパク質が関わる複雑な過程である。これらのタンパク質の遺伝子変異は、色素性乾皮症、コケイン症候群、硫黄欠乏性毛髪発育異常症などの遺伝性疾患を発症する。
今回の研究ではヌクレオチド除去修復過程の最初の段階が解明されたが、今後、修復メカニズムの全解明が行われ、新薬設計への有益な情報となることが期待される。
(画像はプレスリリースより)

横浜市立大学 プレスリリース
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