経口投与可能な分子標的治療薬
エーザイ株式会社(以下、エーザイ)は、創製した新規抗がん剤「レンビマ」(一般名、レンバチニブメシル酸塩)について、「進行性、局所再発又は転移性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん」の適応で、韓国の当局(韓国食品医薬品安全処)より承認を取得したと発表した。
甲状腺がんの新規診断患者数は、韓国において約33000人(2012年)、アジアにおいて約144000人と推定されている。甲状腺がんの多くは治療可能だが、進行した甲状腺がんでは治療選択肢が限られているため、いまだアンメット・メディカル・ニーズが高い疾病の一つである。
「レンビマ」の承認取得
既に日本、米国、欧州にて発売されており、アジアでは、シンガポール、マカオ、香港、台湾、マレーシア、インドそしてインドネシアで承認申請中である。
韓国では2014年11月に「レンビマ」の承認申請を行っており、今回の承認によって、韓国は、日米欧についで「レンビマ」のアジアにおける最初の承認国となった。
韓国における承認は、分化型甲状腺がんを対象とした臨床第III相試験(SELECT試験)に基づくものであり、「レンビマ」は、プラセボに対して無増悪生存期間を統計学的に有意に延長するとともに、高い奏効率を示した。主な副作用は、高血圧、下痢、疲労・無力症、食欲減退、体重減少、悪心だった。
「レンビマ」の創製と機構
「レンビマ」は、エーザイの筑波研究所で創製、開発した新規抗がん剤である。腫瘍血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的治療薬であり、特に甲状腺がんの腫瘍血管新生と腫瘍増殖に関与するVEGFR、FGFRおよびRETを同時に阻害する。
また、「レンビマ」は、VEGFR2とのX線共結晶構造解析から、新たな結合様式を有することが確認されており、速度論的解析から、標的分子に素早く結合し、強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されている。

エーザイ プレスリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201571.html