病態が進んだ歯周炎に
科研製薬株式会社は、2015年10月1日、歯周組織再生剤「KCB-1D」の製造販売承認申請を行った。
「KCB-1D」は、今回、厚生労働省に承認されれば、歯周炎治療において歯周組織を再生する国内で初めての医療用医薬品となる。
慢性炎症疾患の歯周炎は、歯と歯ぐき間のプラークや歯石が原因で罹患し、悪化すると歯周組織が破壊される。治療を行わない場合、抜歯の必要に迫られることもある。
遺伝子組み換えにより製造
歯科用薬剤「KCB-1D」の有効成分は、遺伝子組み換え技術で製造したヒトbFGFである。科研製薬が2001年6月、褥瘡・皮膚潰瘍治療剤として発売した。
bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子、basic fibroblast growth factor)は、皮膚や血管、骨、軟骨などの組織の形成に関わり、細胞の増殖や分化の調節を司るタンパク質である。細胞の増殖作用と血管新生作用があるため、再生医療で注目されている。
歯周組織の破壊に対しては、フラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)を実施することがある。歯槽骨から歯肉を取り、露出した歯根と歯槽骨から傷んだ歯肉などの組織を取り除く外科的治療だ。
「KCB-1D」はこの手術の際に、歯槽骨などの歯周組織の欠損部に塗布すると、組織を再生させることが実証されている。

科研製薬株式会社 プレスリリース
http://www.kaken.co.jp/nr/release/nr20151001.html