Th17細胞を誘導する20種のヒト腸内細菌の同定
株式会社ヤクルト本社・梅崎良則特別研究員と慶應義塾大学医学部・本田賢也教授らを中心とする共同研究グループは、Th17細胞が腸内細菌によって誘導されるメカニズムを世界に先駆けて解明した。
背景
Th17細胞は、感染症への抵抗性、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)や、自己免疫疾患の病態形成に密接に関わっている免疫細胞として知られている。
これまでに同グループは、マウスの腸内常在細菌の一種であるセグメント細菌がTh17細胞を誘導し、感染症抵抗性を高めることを同定していたが、これらの細菌がTh17細胞を誘導するメカニズムは明らかになっておらず、関連疾患の理解や治療応用が進んでいなかった。
研究内容と成果
今回の研究では、セグメント細菌が腸管上皮に突き刺さるようにして強く接着している特殊な形態的特徴に着目し検証した。
Th17細胞を誘導するヒト腸内細菌の同定・分離を試み、最終的にヒトの糞便に由来する20菌株のTh17誘導菌を特定し、その単離培養に成功した。さらに、この20菌株を投与したマウスの腸管上皮を観察したところ、Th17細胞を誘導しない細菌に比べて、上皮により強く接着している様子が観察された。
今後は、Th17細胞の関与が知られている、炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の予知、また腸管粘膜面で効率的にTh17細胞を誘導するワクチンの設計、さらに感染症治療に対するプロバイオティクス開発に役立つと期待される。
(画像はプレスリリースより)

慶應大学 プレスリリース
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