心房細動による脳卒中予防から適応を拡大
2015年9月24日、バイエル薬品株式会社(以下バイエル薬品)は、経口抗凝固剤(選択的直接作用型第Xa因子阻害剤)「イグザレルト錠」(一般名:リバーロキサバン)について、厚生労働省より、深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)と肺血栓塞栓症(PE:pulmonary thromboembolism)の治療及び再発抑制に対する適応追加承認を取得した。
背景
PEとDVTは、世界的に重要な死亡原因の1つで、欧州では年間50万人以上、米国では年間約30万人が、これら疾患の総称、静脈血栓塞栓症(VTE:venous thromboembolism)による死亡であると報告されている。
日本では、DVTを含めたVTEの全国規模での正確な患者数が把握できておらず、これまで欧米諸国と比較してPEはまれな疾患と考えられていたが、近年、日本国内においても増加傾向にあると言われている。
適応追加承認への経緯
海外で行われたEINSTEIN PE、EINSTEIN DVTなどの第III相臨床試験プログラムや、日本のPE患者とDVT患者のそれぞれを対象とした、2つの第III相臨床試験J-EINSTEIN PE、J-EINSTEIN DVTで得られたデータに基づき承認された。
イグザレルトの副作用については、日本人において血栓退縮効果が報告されており、従来療法と比べ、重大でない出血事象について同程度のリスクを示し、重大な出血事象を有意に減少させることが示されている。
PE・DVTの治療及び再発抑制を目的とする従来の抗凝固療法は、ヘパリンなどの投与を行ったうえで、ワルファリンの継続投与を行う2剤を用いる方法であるが、イグザレルトは1剤のみで初期治療から再発抑制までを行う治療戦略、「シングル・ドラッグ・アプローチ」を可能にした日本初の新規経口抗凝固剤である。

バイエル薬品 プレスリリース
http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2015/news2015-09-24