メリハリのない光環境が加齢を加速
2015年9月28日、明治大学農学部生命科学科動物生理学研究室の中村孝博専任講師らの研究グループは、加齢に伴う睡眠・覚醒リズムなどの体内時計機能低下の原因を突き止めたことを発表した。
睡眠・覚醒リズムなどに代表される概日リズムは、他の生理機能と同様に加齢の影響を受けることが知られている。概日リズムを生み出す体内時計の老化によって概日リズムの変化を引き起こすと考えられてきたが、これまで体内時計の老化を引き起こす主要因は明らかになっていなかった。
研究成果
研究グループが、ほ乳類における体内時計中枢である脳・視床下部・視交叉上核(suprachiasmatic nucleus・SCN)における時計遺伝子の発現リズムを一細胞レベルで観察した。その結果、齢をとったマウスにおいて、脳内の概日リズムを生み出す約2万個のSCN細胞同士の神経連絡が低下し、バラバラに時を刻むようになることが示された。
さらに、光環境においてメリハリが有る場合とない場合での飼育条件で研究を行ったところ、メリハリのない光環境が体内時計の加齢をより加速させ、昼と夜でメリハリのある光環境が体内時計機能の加齢変化を細胞レベルで抑えることがわかった。
研究成果の意義
超高齢社会を迎えている日本の現状において、高齢者やその介護者のQOLの向上は急務であり、今回の研究の主旨である「体内時計加齢変化の作用点の解明」は、新しい治療方法確立、治療薬の開発などを促し社会に貢献する重要な課題であると考えられる。
(画像はプレスリリースより)

明治大学 プレスリリース
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