希少がん神経内分泌腫瘍の治療薬
2015年9月18日、ノバルティス ファーマ株式会社は、「アフィニトール錠2.5mg、5mg」(一般名:エベロリムス、以下アフィニトール)について、消化管や肺を原発部位とする神経内分泌腫瘍の効能追加承認申請を行った。
神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumors: NET)は身体機能を調節する様々なホルモンを生成・分泌する細胞から生じる希少がんで、特に消化管、肺、膵臓に多く発生し、消化管NET患者の最大44%、肺NET患者の28%が、がんが転移して治療困難となった状態で診断される。
2010年に実施された全国実態調査の結果によると、国内の消化管及び膵NETの有病者数は、それぞれ8088人、3379人で、新規発症率は近年増加傾向にあり、肺NETの患者数は、原発性肺腫瘍の1%~2%と考えられている。
「アフィニトール」の効果
「アフィニトール」は120カ国以上で承認されており、腎細胞がん、膵神経内分泌腫瘍、乳がん、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫、結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫に対する治療薬として既に使用されている。
また、抗悪性腫瘍剤として日本で初めて承認された経口のmTOR阻害剤で、がんの増殖、成長及び血管新生の調節因子であるmTORタンパクを選択的に阻害することにより、腫瘍細胞の増殖抑制と血管新生阻害という2つのメカニズムで抗腫瘍効果を発揮する。
第III相試験
消化管及び肺原発のNET患者を対象とした第III相試験において、「アフィニトール」投与とベスト・サポーティブ・ケア(BSC:最適な支持療法)を受けた患者で無増悪生存期間がプラセボ+BSC群と比べて有意に延長されたことから、「アフィニトール」の医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。

ノバルティス ファーマ プレスリリース
http://www.novartis.co.jp/news/2015/pr20150918.html