アルツハイマー治療に新たな期待
大塚製薬は10月10日、アルツハイマー病の新規治療薬「Lu AE58054」の臨床第Ⅲ相臨床試験を開始したと発表した。大塚製薬がデンマークのルンドベック社と共同で開発しているもので、同社との共同開発品としては3つ目となる。
本剤は、脳の認知機能に関わるセロトニン5-HT6受容体に作用し、脳の学習機能に関係する神経伝達物質、アセチルコリンの放出量を増加させる。アセチルコリンの分解を抑制することで神経伝達を増強する従来の治療薬とは異なり、併用することでさらなる増強効果が見込まれる。
臨床試験の概要
現在の標準薬であるドネペジルを服用しているアルツハイマー患者に本剤を併用し認知機能を評価したところ、プラセボ群と比べて有意な認知機能改善効果を示した。また、日常生活動作など他の項目に関しても改善が認められた。今後は計17カ国で軽~中等度のアルツハイマー病患者3000人を対象とした臨床試験を行う予定だ。
アルツハイマー病とは
アルツハイマーは進行性の脳疾患で、脳の機能が徐々に低下していく病だ。認知症の一種であり、高齢者に多く見られる。認知症患者のうち薬60~80%がアルツハイマー型であると言われている。記憶、思考、身体機能などが正常に働かなくなり、進展すると介護無しでは生活できなくなる。患者本人だけでなく、家族の負担も大変大きい。
世界中で3600万人いるとされる認知症患者のうち、約2800万人は診断を受けておらず、治療などが行き届いていないのが現状だ。さらに、毎年推定460万人が新たに認知症と診断されており、今後高齢化社会になるにつれてさらに増えていくと予測される。

大塚製薬2013年ニュースリリース
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