併用療法がない
エーザイ株式会社は、米国子会社のエーザイ・インクが米国FDAから、進行または転移性腎細胞がんの適応で自社創製の新規抗がん剤「レンビマ(R)」(以下、レンバチニブ)がブレイクスルーセラピーの指定を受領したことを、2015年7月29日に明らかにした。
ブレイクスルーセラピーは米国FDAの制度で、重篤あるいは生命にかかわる疾患を適応とする薬剤の開発と審査を促進するためのもの。指定を受けると、承認までの期間を短縮するための諸制度を利用できる。
腎がんに罹患している患者数(2012年時点)は、世界で約33万8,000人、米国で約5万8,000人と推計される。腎臓のがんの大部分を占める腎細胞がんの内、進行または転移性の腎細胞がんには効果的な薬剤がない。
全米総合がん情報ネットワークの診療ガイドラインにはエベロリムス単剤などの薬剤が推奨されているが、進行または転移性腎細胞がんの二次治療で、主要国で適応を承認されている併用療法はない。
臨床第II相試験で顕著な効果
今回、レンバチニブがブレイクスルーセラピーに指定されたのは、進行または転移性腎細胞がんを対象とした臨床第II相試験(205試験)の結果に基づく。
血管内皮細胞増殖因子を標的とする治療後に行われたもので、エベロリムス単剤投与群に比べ、レンバチニブ/エベロリムス併用投与群およびレンバチニブ単剤投与群に無増悪生存期間の延長が見られた。また、併用投与群およびレンバチニブ単剤投与群は、エベロリムス単剤投与群より奏効率が高かった。
レンバチニブは甲状腺がんを適応とする薬剤として米国、日本、欧州で販売され、肝細胞がんなどについては臨床試験が進行中である。
今後、同社は、腎細胞がんを対象にした適応の申請について、審査当局と協議していく予定である。

エーザイ株式会社 プレスリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201552.html