β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤「ゾシン」
大鵬薬品工業株式会社(以下「大鵬薬品」)は2015年6月26日、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤「ゾシン静注用2.25、ゾシン静注用4.5、ゾシン配合点滴静注用バッグ4.5」(一般名:タゾバクタム・ピペラシリン)について、発熱性好中球減少症の適応追加の承認を取得したことを発表した。
熱性好中球減少症は、急性白血病をはじめとする造血器疾患や固形がんの患者に対して、化学療法や放射線療法などによる治療に起因して生じる、骨髄抑制に伴う好中球減少時に発症する発熱性疾患である。急速に重症化して死に至る危険性が高い疾患だが、広域抗菌薬の投与により改善することが知られている。
「ゾシンの創製」
「ゾシン」は、大鵬薬品が創製したβ-ラクタマーゼ阻害剤であるタゾバクタムと、富山化学工業株式会社が創製したペニシリン系抗生物質であるピペラシリンを力価比1:8の割合で配合した注射用抗生物質製剤。国内での製造販売元は大鵬薬品で、大正富山医薬品株式会社が販売している。
日本では、2008年7月に成人と小児における敗血症、肺炎、腎盂腎炎及び複雑性膀胱炎を適応症として承認され、2012年9月には腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎及び胆管炎の適応症が承認された。
海外では、112カ国で承認されており、欧米などの各種感染症治療に関する診療ガイドラインにおいて第一選択薬のひとつとして推奨され、世界的な標準薬として高く評価されている。
発熱性好中球減少症の適応追加の承認
今回行われた発熱性好中球減少症の適応追加承認は、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、「発熱性好中球減少症」の適応取得に向けた開発要望が関連学会より提出され、検討会議にて医療上の必要性が高いとの評価を得た。
これにより厚生労働省から大鵬薬品へ2010年12月に開発要請があり、「発熱性好中球減少症」に対する第III相臨床試験を実施し、2014年7月2日に適応追加の承認申請が行われた。
今回の承認取得は、成人及び小児の発熱性好中球減少症患者に対する「ゾシン静注用」の解熱効果と、有効性・安全性並びに小児患者を対象とした同剤の薬物動態について検討した第III相臨床試験の結果に基づいている。
同試験により、日本人の発熱性好中球減少症患者において既に承認されている薬剤と同様に有効かつ安全に投与できることが確認された。

大鵬薬品工業 ニュースリリース
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