主要な成分は「一本鎖RNA」
2015年6月30日、コンビ株式会社 ファンクショナルフーズ事業部と京都府立大学生命環境科学研究科の井上亮講師、牛田一成教授らは、共同研究で、乳酸菌の免疫刺激によって、IL-12産生に関わる主要成分の解明を発表した。
乳酸菌による免疫刺激については、腸内で生きた乳酸菌が働くだけでなく、腸壁の免疫器官(パイエル版)から乳酸菌が体内組織に取り込まれて免疫系が刺激される作用が知られている。
研究グループは乳酸菌の免疫刺激において菌体成分そのものが重要であると考え、殺菌した乳酸菌に着目し、2011年にマウスで乳酸菌の核酸が免疫刺激に関与していることを報告した。
IL-12産生に関わる主要成分が解明されるまで
今回の研究では、ヒトの免疫刺激における乳酸菌の核酸の寄与、そして核酸の中でもどの分子が主要な成分であるかを、ヒトの免疫細胞を用いて検証した。
コンビが独自に分離した乳酸Enterococcus faecalis EC-12の 一本鎖RNA、二本鎖RNA又はDNAを分解してヒト免疫細胞と共培養した結果、「一本RNA」を分解した際に、細胞から産生される免疫物質IL-12の顕著な減少が認められた。
また、他の乳酸桿菌Lactobacillus gasseri JCM5344、ビフィズス菌Bifidobacterium breve JCM1192に対しても同様の結果だった。さらに、23S rRNAと16S rRNAが、一本鎖RNAを認識し、外敵の侵入を感知するヒト免疫細胞のトル様受容体 8を刺激することで免疫システムを活性化していることも解明した。
「一本鎖RNA」とその受容体
乳酸菌の核酸がヒトの免疫刺激に深く関係していること、核酸の中でも「一本鎖RNA」が主要な成分であることがわかり、更に乳酸菌の一本鎖RNAが認識される受容体に関する知見も得ることができた。
この結果は乳酸菌と免疫の研究分野において意義のある成果であり、「乳酸菌由来RNA」の核酸医療への応用や、有益な新規乳酸菌の探索などに一層の進展が期待される。
(画像はプレスリリースより)

コンビ株式会社 プレスリリース
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