難治がん治療を目指したチャレンジ
ナノキャリア株式会社は、3月29日、抗ヒトTissue Factorモノクローナル抗体に関する国際特許共同出願について、日本国特許庁より特許査定を受けたと発表した。
同社は、予後不良な難治がん治療を目指したチャレンジを行っており、同抗体の研究も難治がんの治療薬開発などにつながるとしている。
がん組織において多く発現するTissue Factor
「組織因子」という意味であるTissue Factorは、細胞膜結合型の1本鎖糖蛋白質であり、外因系血液凝固反応の開始因子。血管に損傷を受けた場合、血液凝固を開始し、出血を止める。
このTissue Factorは、がん組織において多く発現していることが認められている。また、発現が高いほど予後が悪いことも種々のがんで報告されている。
今回特許を取得した抗ヒトTissue Factorモノクローナル抗体は、ヒトTissue Factorを標的とする抗体。国立がん研究センター新薬開発分野長・松村保広氏らの長年の研究から見出された。
国立がん研究センターと共同で研究
ナノキャリアは、抗ヒトTissue Factorモノクローナル抗体を表面に結合したエピルビシンミセルの研究を、国立がん研究センターと共同で実施。難治がん治療を目指し、新規の抗体を探索してきた。
同社は、同抗体をセンサーとするADCM(Antibody/Drug-conjugated Micelle:抗体/薬物結合型ミセル)が、難治がんの治療薬開発などにつながることを期待しているという。

新規抗体に関する特許査定のお知らせ - ナノキャリア株式会社
http://pdf.irpocket.com/C4571/lsfl/gCIz/HFzb.pdf