先駆け審査指定制度
第一三共株式会社は、2016年2月10日、東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授と共同申請したがん治療用ウイルスが、医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたと発表した。
この制度は、革新的医薬品や医療機器などの日本での早期実用化を掲げた「先駆けパッケージ戦略」の重点施策で、2015年度から試行的に開始したものである。
治療薬が患者の元に早く届けられるように、重篤な疾患等に有効性が高いと考えられる医薬品を指定する。そのために開発早期に対象医薬品を指定し、治験相談・承認審査で優先的に扱われることが見込まれる。
がん治療用ウイルス療法
今回、指定されたがん治療用ウイルスは、がん細胞のみで増殖可能とした人為的三重変異をもつ制限増殖型遺伝子組み換え単純ヘルペスウイルス1型(第三世代がん治療用単純ヘルペスウイルス1型)である。従来の治療体系を覆す画期的ながん治療法を実現すると期待される。
2015年から、悪性神経膠腫を対象に同ウイルスを用いたウイルス療法の第2相臨床試験が行われている。他のがん腫に対しても非臨床試験や臨床試験が始まり、適応拡大の可能性を示すデータが得られている。
悪性神経膠腫はグリア細胞から発生する原発性脳腫瘍で原因は不明。脳組織内への浸潤性が高く、増殖も速いが、根本的治療法はまだない。臨床試験では悪性度が最も高い膠芽腫を対象にした。今後、同社はこれらのがん腫に対する治療法を藤堂教授と共に開発する予定である。

第一三共株式会社 ニュースリリース
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006403.html