低コストでより多くの細胞塊を調製
日産化学工業株式会社は、新開発したがん細胞用・新規3次元培養培地『FCeMシリーズ』を、10月より販売開始した。
同シリーズは、低コストでより多くの細胞塊を調製などの特性を持つ。販売は、和光純薬工業株式会社を代理店として行われる。
求められている3次元培養法
抗がん剤のスクリーニングには、プラスティック製プレートを用いた2次元環境下で培養されたがん細胞が、主に用いられている。しかしこの方法では生体と環境が大きく異なるため、スクリーニングの結果が実際とは異なるなどの問題が発生し、3次元培養法が求められていた。このような状況下で開発されたのが、『FCeMシリーズ』だ。
同シリーズは、食品・医薬品添加物であるジェランガムを主体とする培地添加剤「FP001」が配合されている。これは、同社が独自研究により発明したポリマーであり、培地に加えると3次元状のマイクロゲルを形成し、細胞が均一に分散される。
これらの作用により同シリーズは、低コストでより多くの細胞塊の調製を可能にする。また、血清や増殖因子などのサプリメントの混合が容易であること、さらに細胞培養用低接着プレートとの組み合わせると抗がん剤分子標的薬およびがん転移メカニズムの評価が可能であることなどの特長を持つ。
再生医療分野への展開を目指す
同社は『FCeMシリーズ』の発売と共に、「FP001」のES/iPS 細胞大量培養への応用を検討している。京都大学・中辻教授のグループとの共同研究において、再生医療分野への展開を目指すという。
同シリーズの販売は、和光純薬工業株式会社を代理店として行われる。日産化学工業は今後も、新たな製品の創出に取り組むとしている。

がん細胞用・新規3次元培養培地『FCeMシリーズ』発売のお知らせ - 日産化学工業株式会社
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