年内の終息は困難
エボラ出血熱拡大が、国際社会に波紋を広げている。年内の終息は困難とみられ、世界保健機関(WHO)は緊急事態を宣言し、シエラレオネ、リベリア、ギニア、ナイジェリアの流行4か国が国家非常事態宣言。ウイルス封じ込めに国際社会の協力を求めている。
こうした中、西アフリカのリベリアで、エボラ出血熱に感染したリベリア人とナイジェリア人の医師3人に対し17日までに、米製薬会社が開発中の治療薬「ZMapp」が投与された。
流行抑制に十分な量は確保できず
ZMappはこれまで米国人2人とスペイン人司祭に投与されたが、アフリカ人の治療に使われたのは初めて。米国人2人は投与後に症状が改善したとされるが、スペイン人司祭は死亡している。
ZMappは、マップ・バイオファーマシューティカル社が開発中。タバコの葉で作られる3種類のヒト化モノクローナル抗体を混合した抗エボラウイルス薬だ。サルに対する非臨床試験しか実施されていない未承認薬だが、2014年8月4日に2人のエボラ出血熱患者に投与され、実験的な治療が行われた。
エボラ出血熱の急速な拡大に伴い、WHOは感染者に未承認の治療薬を条件付きで投与することを容認している。ただ、現段階で流行を抑えるだけの十分な量を供給できる治療薬やワクチンはないとも指摘している。
国境なき医師団インターナショナルのジョアンヌ・リュー会長は15日のジュネーブでの記者会見で、西アフリカのエボラ出血熱感染が対応能力を超え急拡大している現状を「戦争状態だ」と表現し、危機感を訴えている。

マップ・バイオファーマシューティカル社
http://www.mappbio.com/