失明の危険も
少しずつ見える範囲が狭くなっていく、中高年の方に起こる代表的な病気のひとつ「緑内障」。進行は非常にゆっくりで、両目の症状が同時進行するのはまれなため、病気がかなり進行しないと自覚症状はほとんどない。
(画像はイメージ、Wikimedia Commonsより)
とはいえ、重症になると失明の危険もあり、一般的な治療法は目薬を1日に数回さして眼圧を正常に保つというものだった。だが、これに代わる治療法の開発が、米国で進んでいる。
眼圧下げることが基本
緑内障の原因は、目から入った情報を脳に伝達する視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気。眼圧が高くなる原因によって「原発緑内障」「発達緑内障」「続発緑内障」に分けられる。さらに、原発緑内障や続発緑内障は「開放隅角緑内障」「閉塞隅角緑内障」に分けられる。
一度障害が生じた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできない。治療は、視神経がダメージを受けてこれ以上視野が狭くならないように、眼圧を下げることが基本となり、眼圧を下げる効果のある目薬を点眼する。
点眼薬を使っても症状が進行する場合は、「レーザー療法」「線維柱帯切除術」といった外科的治療もあるが、米国・ピッツバーグ大学ではこれとは別に、目に直接注射針を刺して薬を注入する治療法を開発中で、1回の薬注入により、1日2回の点眼を28日間続けるのと同様の効果が得られるという。
定期的受診が第一
実験は、ウサギを使って行っており、結膜下または白目部分の膜下に、薬を入れた無害性のカプセルを注入し、薬が入っていないカプセルを注入したグループと、目薬を1日2回、28日間さしたグループを比較した。
薬の入ったカプセルを注入したグループは平均21.4%眼圧が下がり、目薬のグループの眼圧も平均19.9%下がった。一方、薬なしのカプセルを注入したグループの眼圧に変化はなかった。
この新たな手法は、点眼を忘れる緑内障患者が多いことや、緑内障を患っていないもう片方の健康な目にも点眼薬が入ってしまうというリスクが挙げられる。今後、安全性や人への応用などが研究されるが、まずは早期発見が大事。症状がない場合でも、定期的に眼科検診を受けるに越したことはない。

日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/THE WALL STREET JOURNAL
http://online.wsj.com/articles/