HIV/エイズに伴う日和見感染症
国境なき医師団(MSF)は、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎の経口薬による治療をミャンマーにおいて開始したと発表した。
CMV網膜炎は、HIV/エイズに伴う日和見感染症。この発表は、オーストラリア・メルボルンで開催中の第20回国際エイズ会議において行われた。
(画像はプレスリリースより)
放置した場合は失明の恐れも
CMV網膜炎は、なおざりにされる傾向のある疾患だ。しかし、放置した場合は失明の恐れもあるという。先進国においても、抗レトロウイルス薬治療が普及するまでは、エイズ患者の約3分の1がCMV網膜炎を発症していた。また、多くの発展途上国では現在もなお、CMV網膜炎罹患率が高い。
ミャンマーのHIV/エイズ重症患者におけるCMV罹患率は、25%にもおよぶという。治療法も、週1回行う眼球への直接注射が、唯一の選択肢であり続けていた。この処置は、患者にとっては極めて不快なものであり、また注射には入念な訓練を受けた医師が必要だった。
価格交渉を経て内服治療開始にこぎつける
MSFは、製薬会社ロシュ社との長年に亘る価格交渉を経て、ミャンマー南部ダウェイの患者に対しCMV網膜炎の経口薬「バルガンシクロビル」の内服治療開始にこぎつけた。これによりミャンマーのCMV網膜炎患者は、治療にあたり同薬を最長6ヵ月間服薬するだけとなった。
MSFは、経口薬治療の対象を2015年までにミャンマー全土に拡大し、CMV網膜炎と診断されたMSFの患者全員にこの内服治療を提供するとしている。MSFは世界各地でHIV/エイズ治療プログラムを展開しているが、この錠剤の使用が可能となったのは、今回が初めて。

ミャンマー:MSF、サイトメガロウイルス網膜炎の経口薬を導入 - プレスリリース
http://www.msf.or.jp/news/detail/pressrelease