12歳以上の小児および成人を対象
グラクソ・スミスクライン株式会社は、7月25日付けで、A型ボツリヌス毒素製剤「ボトックス(R)注用50単位」、「ボトックス(R)注用100単位」(以下、ボトックス(R)注用)を、12歳以上の小児および成人を対象に斜視の効能・効果で厚生労働省へ適応追加申請を行ったことを発表した。
今回の適応に関しては、日本眼科学会と日本弱視斜視学会からの開発に関する要望書の提出より、厚生労働省が、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと判断し、開発要請されたものだ。
斜視
斜視は眼位のずれが生じ、両眼の視線が同じ方向に向かない状態となる眼科疾患。このような眼位のずれは、先天的もしくは後天的な疾患や外傷などが原因となって、眼球に付着する6つの外眼筋の筋緊張バランスが変わることで引き起こされる疾患である。
斜視により眼位の異常が生じた場合、両眼視の異常や、頭位異常、眼精疲労などの機能的な問題による身体活動への影響がある。また、他人と目線が合わないなどの問題によって、自信の喪失やうつ傾向に陥るなどの問題が懸念される。
日本国内における斜視の治療は、まず、屈折矯正や視能訓練といった手術を伴わない療法を行い、十分な効果が認められなかった場合に、手術療法が適応されるのが現状である。
ボトックス
ボトックス(R)注用は、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする。ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させる神経の働きを抑制する作用があり、筋肉の緊張を緩和させる。
A型ボツリヌス毒素は神経筋接合部で神経終末に作用し、アセチルコリンの放出を抑制し、これによって、アセチルコリンを介した筋収縮が阻害され、筋の攣縮および緊張を改善させる。
また、神経と汗腺の接合部におけるアセチルコリン放出も阻害し、発汗を抑制する作用もあるため、多汗症の治療に用いられている。
ボトックス(R)注用は、2014年5月現在、世界39カ国で、斜視に対する承認を得ている。
また、日本国内では、1996年10月に眼瞼痙攣に対する承認を得てから、片側顔面痙攣、痙性斜頚、2歳以上の小児脳性麻痺の下肢痙縮に伴う尖足、下肢痙縮、上肢痙縮、重度の原発性腋窩多汗症に対しての承認を取得している。
なお、使用に際しては、適正で安全な使用のため、承認条件が付されており、規定のセミナー受講が必須だ。(医師の資格を所有する人限定)

グラクソ・スミスクライン株式会社ニュースリリース
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2014_07/P1000849.html