産能研による新しい高分子標準物質の開発
独立行政法人産業技術総合研究所のナノ材料計測科は、人工的に作られた合成高分子にも関わらず重合度が単一であり、かつ分子量のばらつきがない認証標準物質を開発したと、2014年7月22日に発表した。この開発は医薬品をはじめとする精密・微細な分子レベルの制御が必要な領域において役立つことが期待される。
(画像はプレスリリースより)
開発の背景とは
医薬品や半導体などの工業製品の中には、合成高分子材料を利用して製造や研究開発を行うものも少なくなく、この場合分子レベルの制御が必要な段階へと達している。生物が作り出す物質は、分子の長さがそろっているなど非常に精密であるが、人工的に作られた合成高分子の場合、分子量をそろえることは現在でも困難であった。
今回の開発では医薬品などで用いられているポリエチレングリコールに着目した。ポリエチレングリコールはエチレングリコールによる重合構造を有している構文氏化合物で、本開発により、単一の分子量を有しているポリエチレングリコールの標準物質の開発に成功。
本開発にあたっては、、分離した単一重合度の分子の効率的な自動的採取システムと超臨界流体クロマトグラフィーを用いて単一の重合度の分子だけを分子する技術が利用された。これらの両技術を用いることによって、ポリエチレングリコール以外の一般的な高分子にも適用できると期待される。

産業技術総合研究所 研究成果
http://www.aist.go.jp/