60カ国に275の事業会社
アメリカに本社を置く製薬会社「ジョンソン・エンド・ジョンソン」は、日本でも知名度が高く、世界60カ国に275の事業会社を展開し、11万4000人の従業員を抱える。誰でも一度はその名前を聞いたことがある多国籍企業だ。
赤ちゃん用衛生用品のイメージが強いものの、一般医薬品も数多く扱っており、業界で世界第2位(第1位はファイザー)にランクインされている。アメリカでの創業は1886年と128年の歴史があり、消費者向け製品、医療機器・診断薬、医薬品の3事業を展開し、業績を伸ばしてきた。
日本では1961年に事業をスタート、全国に支店が存在する。国内でもやはり、救急絆創膏「バンドエイド」など、消費者向け製品のイメージが強いが、医療機器・診断薬、医薬品分野が売り上げの約8割を占めている。
日本でも大きく拡大
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、医療機器・診断薬・医薬品などの販売で、ビジネス拡大を図っており、各事業体がそれぞれの分野に専門特化する形で行われている。数多くの製品でトップクラスのシェアを獲得した結果、世界的にも日本においてもビジネスの拡大を遂げ飛躍的に成長した。
日本は福祉政策拡充で、年間6兆円というアメリカに次ぐ医薬品市場を有し、世界第2位の市場規模となっている。ジョンソン・エンド・ジョンソンは日本企業が太刀打ちできないほどの資本力と製品開発力を持っており、日本での売り上げも大きく伸びている。
世界の医療市場は、2001年から2010年まで毎年平均8.7%で成長、2010年の市場規模は約520兆円(医療機器約20兆円、医薬品約70兆円、医療サービス約430兆円)となっている。
薬の研究・開発に通常約150億円
一般に、薬の研究・開発には通常約150億円かかる。さらに、数年から数十年の期間を要するといわれるが、これに対しジョンソン・エンド・ジョンソンは研究・開発費に総売上高の約11.4%を充てている。2012年度実績でみれば約76億ドルと、医療業界に限らず全産業のくくりでもトップクラスの投資額となっている。
さらに、これにとどまることなく将来に向けてジョンソン・エンド・ジョンソンは、2009年にアイルランドの製薬会社「エラン」に10億ドルを支払い、アルツハイマー免疫プログラムの全ての権利を取得している。
また、バーテックス・ファーマシューティカルズとはC型肝炎治療薬「テラプレビル」をアメリカ以外の一定の地域で販売する権利の契約を行っている。同社が開発中の製品には、ウィルス性疾患、がんにおけるMDR (多剤耐性)、などさまざまな薬剤があり、今後さらに企業間の密度が増すことが期待されている。

ジョンソン・エンド・ジョンソン
https://www.jnj.co.jp/